中国の地勢は西高東低で、山地や高原、丘陵が陸地面積の67%、盆地と平野が33%を占めている。山脈は東西または北東から南西に向かうことが多い。阿爾泰(アルタイ)山、天山、崑崙山、カラコルム山、ヒマラヤ山、陰山、秦嶺、南嶺、大興安嶺、長白山、太行山、武夷山、横断山脈などの主要な山脈がある。西部には世界最高・最大を誇る青蔵(チベット)高原を有し、平均標高4000メートルを超えることから「世界の屋根」として知られる。チョモランマは標高8844.43メートルと世界最高峰を誇る。チベット高原から北の国境線に向けて、中国の地勢の第二段を成す内蒙古高原、黄土高原、四川盆地と雲貴高原が広がる。大興安嶺-太行山-巫山-武陵山-雪峰山沿線以東の海岸線までは平野と丘陵からなる第三段が広がる。海岸線以東以南の大陸棚には豊富な海底資源が埋蔵されている。
中国の気候は、冬は南北の温度差が大きく、夏は地域を問わず全国的に高温となる。東と西の乾燥の差は激しく、その複雑さと多様さ、季節風気候の顕著さなどが特徴として挙げられる。中国は世界最大の大陸・ユーラシア大陸の東部、世界最大の大洋・太平洋の西岸に位置する。また、南西方面はインド洋と近接するため、その気候は大陸と大洋の両方から著しい影響を受ける。冬は大陸から海に吹く偏北風、夏は海から陸地に吹く偏南風が盛んである。冬に吹く風はアジアの内陸部で発生する冷たく乾燥したもので、その影響により中国の大半の地域で冬は降水量が少なく、気温も低い。北方は特にその傾向が強い。夏の風は南東の太平洋と南西のインド洋から流れる暖かく湿ったもので、その影響によって全国的に降水が増え、雨季と夏季が重なる。さらに中国は冬と夏の季節風交代の影響を広く受け、世界でも最も典型的な季節風と最も顕著な季節風気候を有する地域と言える。同じ緯度の他地域と比べて、冬の気温が低い一方で夏は高く、一年の気温差が大きくなり、降水は夏に集中する。中国の季節風気候は大陸性が強いため、大陸性季節風気候とも称される。
中国には多くの川や湖がある。川や湖は中国の地理環境を構成する重要な一部となっているだけではなく、恵まれた貴重な自然資源でもある。
中国は川の数が最も多い国の一つである。長江、黄河、珠江、淮河と言った本流の長い大河があり、流域面積1000平方キロを超える川は1500本を数え、京杭大運河に代表される人工川システムも存在する。
中国の湖もまた多く、分布に著しい地域差が見られる。1平方キロ以上の面積を持つ湖は全国に2693カ所ある。長江の中流・下流域には、洞庭湖、太湖、鄱陽湖などに代表される中国最大の淡水湖群が分布する。西部のチベット高原にも湖が集中し、多くは青海湖やナムツォのような内陸塩水湖である。
中国は世界でも動物資源の最も豊富な国の一つである。統計によると、全国には陸棲脊髄動物が約2070種あり、世界の9.8%を占め、そのうち鳥類1170種、獣類400種、両生類184種で、それぞれ世界の13.5%、11.3%、7.3%を占める。中でもジャイアントパンダやヨウスコウカワイルカ、スナメリ、クチジロジカ、ヨウスコウワニ、ハシナガチョウザメなど、原生種が中国にしか存在しない希少動物は世界中の観光客から注目されている。
中国は国土が広大なうえ、地形が複雑で気候も多様なため、植生の種類が豊富である。種子植物は300科2980属24600種ある。被子植物は2946属(世界の被子植物の属総数の23.6%を占める)。メタセコイアや銀杏など古来の植物は世界の他地域では絶滅し、中国にだけ残る「生きた化石」である。中国の種子植物は寒帯、温帯、熱帯の三気候帯を跨り、その種類は欧州全体を合わせたものよりも遥かに上回る。世界で植物資源が最も豊富な国の一つである。